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おまけ

「三本の椰子の木」という詩があります。
19世紀のロシアの作家・詩人レールモントフの作によるものですが、もの悲しいやるせない気持ちになる詩です。同名の弦楽三重奏の歌曲もありますが、同様に沈鬱な印象の曲です。



「三本の椰子の木」 レールモントフ

砂漠の真ん中に、三本の傲慢な椰子の木が見上げんばかりに生い茂っていた。


三本の木は神に向かって不平を言った。

「わたしたちが生をうけたのは、ここで朽ち果てるためだったのですか?
 わたしたちがこの砂漠で成長し花を咲かせたのは、何の意味もなかったのですか?」

やがてキャラバンがざわめきながら近づいてきた。
椰子たちはこうべを誇らしげに振り、客人達を歓迎した。
陽気な男たちは木陰で休憩し、冷たい流れが彼らののどをうるおした。

だが夕闇が大地におりると、斧がふるわれ、
3本の木は命を絶たれて倒れた!
それからその身体は切り刻まれ、ゆっくりと燃やしつくされた。 

夜が明け、キャラバンはふたたび旅に出た。
不毛の地に残された悲しみの跡は、白く冷たい灰。
ひからびた燃え残しは太陽に焼き尽くされ、風によって砂漠にまきちらされた。

木曽のあばら屋」さんの、ヴァインベルク・エディション Vol.5(3本の椰子の木、弦楽三重奏曲、トランペット協奏曲)から引用させていただきました。ここで、楽曲も聴くことが出来ます。

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